


一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC) JPUC事務局
一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC) JPUC事務局
一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)は、車買取業界の健全な発展のため業界団体の設立が望まれて2014年に設立されました。JPUCは「一般消費者への安全・安心なサービスの提供」という理念のもとに、顧客への不当な勧誘を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択、および一般消費者が安心かつ安全に契約できる環境を提供することで、自動車の取引の公正化を図っております。
「車売却で契約後にキャンセルはできる?」
「車売却で注意するべきことは何?」
「車売却のキャンセルをしたいけど、どう対応したらいい?」
車売却の契約をしたけれど、さまざまな事情でキャンセルをしたいというケースがあります。しかし、契約には法的な権利義務が発生するため、一度契約してしまうと原則キャンセルはできないことになっています。
本記事では、車売却の契約後にキャンセルできるのはどのような場合か、クーリング・オフが適用可能かどうか、違約金についての考え方などについて詳しく解説していきます。車売却の契約後にキャンセルをしたいと悩んでいる人は、本記事を参考にして対応を行ってください。
車売却の契約後にキャンセルできるかどうか
車売却の契約をしたものの、他の車買取業者の方が高値で売却できるから契約をキャンセルしたい、家族が使用することになったから売るのをやめたいなど、さまざまな理由で契約後のキャンセルを望む人がいます。
しかし、一度契約したものをキャンセルすることは可能なのでしょうか。ここでは車売却の契約後にキャンセルができるのか、どのような場合だとキャンセルできるのかを解説します。
車売却の契約後にキャンセルはできる?
契約とは当事者間が合意することで法的な権利義務の関係が発生するものを言います。適正に結ばれた契約は守らなければならないため、原則として契約後のキャンセルはできません。これは、口頭で契約を交わした場合でも同じです。
しかし、車買取業者によってはキャンセルできる場合もありますので、契約前に契約解除条項を必ず確認してください。
車と売却に必要な書類が手元にある場合、引き渡し前のキャンセルはできる?
車と必要書類が手元にある段階では、たとえ捺印等がされていても業者に引き渡しているわけではないので、キャンセルできる可能性はありますが、実際にキャンセルができるかどうかは契約した買取業者の定めた契約解除の条項によるため一概には言えません。
キャンセルの可否については契約解除条項によって異なるので、契約前にきちんとチェックすることが必要です。なお、JPUCの自動車買取モデル約款を採用している車買取業者では「車と書類の引き渡しの翌日まで」は、消費者の負担なく契約解除が可能です。
キャンセル拒否などのトラブルに巻き込まれた場合は、自分だけで判断せず、車売却・車買取に関する相談窓口である「JPUC車売却消費者相談室」に相談してください。
車売却の契約後にキャンセルが難しいケース
次のようなケースの場合は、車売却の契約後にキャンセルすることは難しいです。車の売却で後悔しないためにも、キャンセルが難しいケースについて把握しておいてください。
残債(ローン)がある車を売却した場合はキャンセルできる?
ローンを組んで車を購入した場合、使用者は消費者ですが車の所有者はローン会社になるため、ローンを完済をしないと車を売却することができません。そのため、ローンが残っている車を売却する際は、買取業者にローン会社への残債処理を依頼して、精算を済ませてから売却をすることがあります。
このような形で既に買取業者による精算が済んでいる場合は、キャンセルができないケースがあります。
必要書類と売却する車を引き渡してしまった後でもキャンセルできる?
契約書類と売却する車を引き渡してしまった後は、原則キャンセルすることはできません。しかし、JPUCの自動車買取モデル約款を使用している車買取業者の場合は、引き渡しの翌日まで違約金の負担なく契約解除が可能なので、契約している業者がJPUCの自動車買取モデル約款もしくは同等の約款を使用しているかどうかが重要なポイントになります。
JPUCの自動車買取モデル約款と同等の約款を使用していない車買取業者の場合、契約解除に関する条項があったとしても、既に必要書類と車両を渡してしまった後では、基本的にはキャンセルが出来ません。
買い手が決まっている場合でもキャンセルできる?
次の買い手が決まっている場合は、基本的にキャンセルは難しいです。買い手側に車買取業者からキャンセルをお願いすることは会社の信用問題にも繋がるため、このような場合はキャンセルはできないと考えてください。
万が一キャンセルできたとしても、高額な違約金が発生する恐れがあります。なお、JPUCの自動車買取モデル約款と同等の約款を使用している買取事業者の場合は、買い手が決まっていても、車と書類の引き渡しの翌日までは違約金なしで契約解除ができます。
陸送やメンテナンスに入ってしまった後、オークションに出品された後でもキャンセルできる?
車が他の場所に陸送、メンテナンスに着手、オークションに出品されていたりする場合もキャンセルは難しいです。
車買取業者の契約解除条項に定められている契約解除出来る期間を過ぎた後でもキャンセルはできる?
契約解除可能な期間を過ぎた場合、キャンセルは難しいです。
契約解除に伴う高額なキャンセル料には注意
車と書類を引き渡した後に契約を解除してしまうと基本的に、損害賠償金や違約金、キャンセル料などを請求されます。
消費者契約法第9条第1号において、契約が解除された場合、契約の解除によって事業者が被った損害を上回るような損害賠償金、解約料、違約金などを定める契約条項については、当該事業者に生ずべき平均的な損害額を超えるものは無効とされています。
そのため、必要書類と売却する車の両方がまだ手元にある場合は、高額な損害が発生しているとは考えにくく、高額な違約金請求をされた際は、違約金の根拠となる書類を提出するように求め、それが出せないなら支払えないと主張することができます。もし、買取業者が違約金の根拠を提示して妥当な金額である場合は、支払う必要があります。
ただし、これらは違約金条項によっても異なるので、きちんとチェックすることが必要です。また、車を売却する際には、事前によく検討をしてからキャンセルすることが無いように契約を結ぶことが大事です。万が一、何らかの事情があってキャンセルする場合は、車買取業者になるべく早く連絡をするようにしましょう。
契約を解除するとどのくらいのキャンセル料を請求される?
車買取業者によって契約解除条項が設定されている場合やキャンセルするタイミングによって、キャンセル料は変わってきます。一般的な違約金の考え方は、整備代・クリーニング代・輸送費・人件費等の実費が請求されると考えてください。
違約金を請求された場合は、
①約款で違約金条項がある場合、法外(高額)な定めではないかを確認する。
②実費としてどのような項目にいくらかかったのか、実費根拠の提示を求め、それが出せないなら支払えないと主張する。
といった対応を取りましょう。
実費根拠の提示をされたら、実費根拠の明細が「平均的な損害額を超えるもの」ではないのかを確認して対応しましょう。
車の売買におけるクーリング・オフの適用について
契約後でも、一定期間内であれば無条件で解約できるクーリング・オフという制度があります。クーリング・オフを使用すれば、車売却の契約後でもキャンセルできるのではないかと考える人も多いでしょう。
しかし、クーリング・オフは全ての契約で適用できるものではありません。車の売買にクーリング・オフが適用できるのか、しっかり理解しておいてください。
クーリング・オフを利用して車売却の契約後にキャンセルすることはできる?
クーリング・オフとは、いったん契約の申し込みや契約の締結をした場合でも、契約を再考できるようにし、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。
出典元:独立行政法人国民生活センターHP
https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coolingoff.html
訪問販売や通信販売、電話勧誘販売など、契約の際にトラブルを生じやすい7つの取引類型に対して適用されます。一般的に車の売買はよく検討したのち契約する商品と考えられているため、クーリング・オフの対象にはなりません。
車の売却にはクーリング・オフは適用されないと理解し、車を売却する際はよく検討してから契約するようにしてください。
本当に車を売却して問題ないか確認しておこう
ここまで紹介してきたように、車の売買にはクーリング・オフは適用されず、一度契約してしまうとよほどの事由やキャンセル可能期間が定められているなどのことがない限り、契約解除はできません。キャンセルを申し出るタイミングや、買取業者の契約条項によっては、解約ができないことや、解約できても違約金を請求されたりすることがあります。
車売却で後悔しないためにも、契約前に本当に車を売却するべきなのかよく検討し、後からキャンセルすることが無いように心がけましょう。車を共同で使用する家族などがいる場合は、一人で勝手に売却することを決めず、契約前に話し合って納得してもらうことも重要です。