
相談内容
数年前に購入した中古車を代替することになり、購入店とは別の買取業者の査定を受けた。修復歴、不具合、災害歴については「なし」と申告し売買契約を交わした。車と名義変更書類を引き渡し、売却代金が振り込まれた。しかし、数日後に買取業者の担当者から「オークションに出品したところ、冠水歴が判明しました。契約解除で車を返すので、支払った代金を全額返金してください」と連絡があった。
購入した中古車販売店に確認したところ「販売当時、冠水車ではなかった」と主張しているが、嘘なのか本当なのかはわからない。当時も冠水車という説明はなかったように思うが、数年前のことで定かではない。現在、不具合はなく、少なくとも自分が使用している期間に冠水した心当たりはない。今後どう対応したらいいか。
回答
台風やゲリラ豪雨の影響を受け、日本各地で水害が頻繁に起こるようになりました。車の浸水被害も増加傾向にあり、当協会の車売却消費者相談室にも冠水車についてのトラブル相談がよせられています。
一般財団法人日本自動車査定協会の中古自動車査定基準における「冠水車」とは「集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、または、その痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの」と定義されています。冠水車として表れやすい特徴として、主に以下のことが挙げられます。
- 通常の使用では発生しない箇所にさび・腐食がある
- 通常の使用では付着しない汚れ・シミがある
- ドロ又はカビの臭い
このようなケースでは、まず「冠水車と判断されたのがいつなのか」を確認してください。
①今回の売却で初めて冠水車と判断された場合 買取業者は、上記の日本自動車査定協会の基準に則り、プロとして査定を行う必要があります。オークションで判明するような冠水歴だったのであれば、買取業者の過失とみなされるでしょう。
②相談者の購入時期より前に、冠水車と判断されていた場合 既に冠水歴がオークションなどで判明していた場合は、①同様、買取業者の過失を主張することが可能でしょう。
当協会の車売却消費者相談室は、消費者の方が買取業者に車を売却する際のご相談を受け付けています。②は、売却時に発生したトラブルではありますが、購入車両についての相談にもあたるため、以下の青字部分の回答は参考としてお読みいただければ幸いです。
本来、冠水車を販売する場合、販売店では「冠水車である」旨の表示や説明が必要です。なぜなら冠水車はエンジンや電気系統に支障をきたす恐れがあり、商品価値も通常の車両より低くなります。また、今は不具合がなかったとしても、将来的に重大な不具合が発生する可能性も高いため、販売店が「冠水車ではない」という虚偽の表示や説明をしているのであれば詐欺に当たりますし、「冠水車である」という表示や説明をしなかった場合でも、不当表示とみなされることになります。いずれかに該当するようであれば販売店に対して、契約の取り消しを求めることが可能と思われます。
トラブルを避けるためには
冠水歴が判明した時期が不明なので、アドバイスが難しいケースではありますが、中古車を購入する際は、必ず現車を確認して説明を受けてから契約することが、手放す時のリスクも減らすことができるのではないでしょうか。
もし相談者の方が購入時に「冠水車である」ことを説明されて知っているにもかかわらず、故意にその事実を隠したり、過少申告して売却を行った場合は、申告義務違反にあたり、契約不適合責任に問われる可能性があります。トラブルを避ける上でも、売却の際は知りうる限りの申告を行いましょう。
上記のトラブルはあくまでも一例で、場合によっては取るべき対応が異なることがあります。減額トラブルについて困ったことがあれば、下記「車売却消費者相談室」にご相談ください。