
相談内容
以前、修復歴のない中古車を購入して使用していたが、代替することになったため一括査定を申し込んだ。買取業者数社の査定を受けた際、「修復歴なし」との申告を行い、その中の1社と売買契約を取り交わした。車と名義変更書類を引き渡した後、買取業者から「オークションに出品したところ、修復歴ありの判定が出たので、契約金額では買い取れず減額になる」と連絡があった。
「購入時も修復歴なしと聞いているし、自分が使用していた期間に事故を起こしたり、ぶつけて修理したこともない。次の車の購入に影響があるので減額は困る」と買取業者の担当者に話をしたが「申告と車の状態に相違があるので、申告義務違反です。減額分は修復歴ありの車を販売した業者に賠償請求してください」と言われた。
2年前に購入した業者(販売元)に確認してみたものの「販売時、修復歴はなく事故車ではなかった」と言われてしまい困っている。
回答
修復歴のある車とは、過去に交通事故やその他の災害により、車体の骨格部位(フレーム)を損傷し、「修正」あるいは部品「交換」により修復したものをいいます。なお、未修復であるいわゆる現状車についても同様の判定基準が適用されます。修復歴があるとみなされた場合は、査定額が大きく下がる可能性があります。
もし、相談者が「修復歴あり」と知っていながら、「修復歴なし」との虚偽申告や過少申告をしていた場合、申告義務を果たしていないことから、契約不適合責任に問われる可能性があります。しかし今回のケースは、修復歴のない車を購入して、使用期間中にも事故や修理歴はないということですから、申告義務違反には当たらないと思われます。
一方で買取業者は修復歴や修理歴に関する申告の有無にかかわらず、日本自動車査定協会の基準に則ってプロとして査定を行わなくてはなりません。
まずはどこで修復歴が判明したのか、どの部分のどのような損傷なのか、担当者の見落としではないのか等、責任者に具体的な説明を求めてください。オークション会場で判明するような修復歴であれば、買主である買取業者の過失と考えられます。一方的に減額を求められても応じることはせず、契約金額通りの履行を求めましょう。
なお、JPUCのモデル約款では、「契約車両につき、中古自動車取引業界における一般的かつ標準的な車両検査(修復歴の基準については一般財団法人日本自動車査定協会が定める基準)」「において判明しない不適合があることが判明したときは」、「買主は売主に協議を求めるものとし・・・(以下省略)」と定めています。オークション会場などでも判明しないような不適合があった場合は、協議になる可能性が高いでしょう。そのような場合は、日本自動車査定協会の協会査定(有料)で、修復歴車なのか判定をしてもらうこともできます。
ご家族で共有している車を売却する場合は、修復歴はもちろんのこと、軽微な修理などの修理歴、災害歴、不具合などがないか確認し、知りうる限りの申告をすることが、減額トラブルを回避することにつながります。
上記のトラブルはあくまでも一例で、場合によっては対応が異なる場合があります。減額トラブルについて困ったことがあれば、下記「JPUC車売却消費者相談室」にご相談ください。