相談事例
買取事業者と中古車を売却する契約を締結し、一週間後に車と書類を引き渡すことになりました。 翌日思い直し、解約を申し出たところ、「違約金(キャンセル料)」の支払いを求められました。 違約金(キャンセル料)を支払わなければならないでしょうか?
回答
契約は、契約当事者の申込みと承諾が合致することで成立します。契約が「成立」することによって、契約当事者にはそれぞれ法的な拘束力を持った約束の内容となる債権(権利)および債務(義務)が生じ、一度契約が成立すれば、契約の「無効」「取消」「解除」の原因がない限り、当事者は、契約に拘束されることになります。いったん契約をすると、特別な場合を除いて一方的な解約をすることはできません。それを売主から一方的に契約を解除する場合、相手方が被った損害を賠償する責任が生じます。
しかし、消費者契約法第9条第1号では、「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償予定額または違約金の定めについて、これらの合算額が当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分」は無効とすると規定しています。
今回のケースでは、売主が車と移転登録書類も渡していない翌日に契約の解除を申し出ていることもあり、実際に損害が発生しているとは考えにくいため、このような請求に対しては、違約金の内訳など根拠となる書面を求め、それが妥当なものなのか確認する必要があります。
「JPUC車売却消費者相談室」に寄せられる相談には、消費者が中古自動車を売却の際に、十分に検討しないまま、売買契約書に署名・捺印した後に、家族に反対されたから、親戚や知人に欲しいと言われたから、他社の方が買い取り金額が高いから等、自己都合により契約解除を申し出てトラブルに発展するケースが多く見受けられます。
このようなトラブルを避けるためにも売買契約を締結する前に、売買契約書に記載されている 「契約の成立時期」「契約の解除」条項等の契約内容を確認することが重要です。
上記で問題が解決しない場合、更に詳しい相談がしたい場合は、「JPUC車売却消費者相談室」にご相談ください。
<参考>
日本自動車購入協会(以下、JPUC)はモデル約款を策定し、契約解除について「売主は本契約締結日から契約車両の引渡しを行った日の翌日までは、買主に通知することにより何等の負担なく本契約を解除することができるものとする」と定めています。
「モデル約款監修制度」では、モデル約款の趣旨および内容と比較して同程度以上に消費者の権利の保護に配慮した約款であると認められる場合に、監修番号および監修マークを発行しております。よって、監修を受けたJPUC会員事業者では、今回のケースでの契約解除に伴う違約金の発生はありません。