
相談内容
一括査定を申し込み、最初に来た買取業者と新車で購入して5年乗った車の売買契約を取り交わした。他の買取業者の査定は断り、車と名義変更書類を引き渡した。支払いは2週間後の予定だったが、入金前に担当者から「オークションに出品したところ、修復歴車と判定された。契約金額どおり支払えないので減額になります。」と連絡があった。
自損事故を起こし修理を行ったことについては、出張査定を受けた際に申告しており、担当者が「この箇所は修復歴には当たりません。」と言っていたことを主張したが、「思ったより事故跡が酷かった」と言われた。
減額には納得できないため、車を返してほしいと伝えたら「すでにオークションへの出品料や陸送費がかかっています。返車には応じますが、契約解除に伴う違約金を支払ってください。」と言われた。違約金を支払わなくてはならないのですか。
回答
①減額についての責任の所在の考え方
査定は、一般財団法人日本自動車査定協会で定める「中古自動車査定基準」などに基づき行われます。買取業者もオークション会場の検査員同様、この基準を用いてプロとして査定をする責務があります。
査定の際、相談者は修理したことについて申告していたとのことですから、買取業者はなおさら注意深く申告を受けた箇所を確認して、査定価格を算出して提示しなくてはなりません。
つまり、オークション会場の検査員が実車を確認して修復歴車と見なした車両に対して「事故跡が思ったより酷かった」という理由で、買取業者が相談者に減額を求めることはできないと考えられます。
※全国展開をしているオートオークション会場の規約でも、出品店(買取業者)は、中古自動車取扱事業者としての良識に基づき、出品する車両について「正確かつ誠実に」仕様、品質、車歴(修復歴、冠水歴、メーター交換(改ざん)歴など)を申告する義務が課されています。
②発生した実費および違約金についての考え方
買取業者がオークションに出品している場合は、実際に出品料やオークション会場への陸送費などが既にかかっており、車を返すことになった場合は、買取業者への陸送費などがさらにかかることになるでしょう。
しかしながら①で述べた通り、今回のトラブル事例における責任の所在は買取業者にあると思われます。買取業者が正しい基準で査定を行い、修復歴車という判断をしていれば、オークション会場の検査員との判断に差が出ることはなかったからです。
相談者が修理したことを誠実に申告しているにもかかわらず、買取業者が注意を怠った責任を相談者に転嫁し、オークション出品料や陸送費用などの実費や違約金を請求することは不当と考えられます。
今後の対応について
・①を主張し、契約の履行(契約金額通りの支払い)を求める
・②を主張し、違約金の支払いを拒み、契約解除(返車)を求める
どちらかを軸に買取業者と交渉することになります。
一度違約金を支払ってしまうと、後から返金を求めるのは困難と思われます。また、交渉が長引くと、買取業者の元に戻ってきた車の保管料などを請求される場合もあるようですので、なるべく早く話し合いの場を作り、早急に解決することも必要でしょう。
こういうトラブルを防ぐ意味でも査定は数社受け、金額だけではなく、車の評価や契約内容(契約条項)、契約の条件などを比較してから契約することも検討したほうがよいでしょう。
※売主が査定時に修復歴などを故意で申告しなかったり、過少申告をした場合は、申告義務を怠ったとして買主から責任を問われる可能性があります。
上記のトラブルはあくまでも一例で、場合によって取るべき対応が異なることがあります。減額トラブルで困ったことがあれば、下記「JPUC車売却消費者相談室」にご相談ください。