
相談内容
今年の3月、近所の買取業者で自分の名義の普通自動車の廃車を依頼、車と永久抹消手続きに必要な書類を引き渡した。次年度の自動車税は買取金額と相殺して買取業者に支払ってもらう約束をして、残りの買取金額は引き渡し時に現金で受け取った。
数か月後に、その買取業者の店舗前を通りかかったら、看板も取り外されて営業していないようだった。自分の車は店舗の敷地にはなかった。その後、自動車税の督促状が届いたので県税事務所に問い合わせてみたところ、まだ永久抹消の手続きはなされておらず、自分の名義のままであることが判った。
契約書等はトラブルもなく取引が済んだと思っていたので破棄してしまった。どうしたらいいか。
回答
買取業者は廃車となる車を買い取る際、車と委任状や抹消登録に必要な書類を受領して手続きを代行することがほとんどです。抹消登録には、再登録が可能な一時抹消と永久に登録ができない永久抹消の2種類があります。
契約時に買取業者と相談者の間でどのような契約書が交わされ、どのような説明や約束がなされたのかは、相談者が契約書を破棄してしまったためわかりませんが、おそらく買取業者が永久抹消の手続きを請け負うといった約束を守らなかったのではないかと思われます。
なお、普通自動車のすべての登録手続きは、陸運支局へ申請を行うことになります。
永久抹消に必要なもの
普通自動車の永久抹消を買取業者が代行する際、主に以下の書類を売主から預かります。※1
- 自動車検査証(車検証)
- 所有者の印鑑証明書
- 委任状(所有者の実印が押印されているもの)*所有者本人が手続きする場合は必要ありません
- リサイクル券
※1 所有者が転居や姓名変更などをしている場合は他にも書類が必要になります。また軽自動車は必要な書類が異なります。
上記の書類は再発行や再作成で揃えることはできますが、これに加え、永久抹消を行う車両のナンバープレートを返納しなければなりません。ナンバープレートを再発行するためには車を管轄の陸運支局に持ち込むことが必要なので、今回のケースのように現車がない場合は難しいと思われます。
また、永久抹消を申請する際、売却した車が解体されていることが必須になります。
まず、車が解体されているかについて、「自動車リサイクルシステム」ホームページの「使用済自動車処理状況検索」で調べてみましょう。なお検索には、車台番号と、登録番号かリサイクル券の番号が必要です。
<解体されている場合>
表示されている「移動報告番号」と「解体報告記録日」を書きとめてください。管轄の陸運支局に「車両は解体済みであるが、永久抹消を依頼した買取業者と連絡が取れずナンバープレートが返納できない」等の経緯を説明し、追加で必要な書類を確認してください。
また、車検証は、陸運支局に出向いて再交付の申請書および理由書を提出、手数料を納めることで再交付が可能です。車検証再発行の申請時に、陸運支局の窓口で上記について確認してもよいでしょう。
<解体されていない場合>
ナンバープレートが付いたまま車両が現存する可能性があるので、現状のままでは永久抹消は難しいでしょう。法務局で買取業者の法人商業登記簿謄本を取得し、代表者の住所等が確認できるようであれば※2、内容証明郵便などを送り、しかるべき対応を申し入れしていただくことになります。(ご自身での要請が困難であれば、弁護士などに依頼してください。)
※2 法務省より「代表取締役等住所非表示措置」が令和6年10月1日から施行されたため、非表示措置が取られていることがあります。
未納自動車税について
自動車税については、当年度の4月1日現在の車検証上の所有者が納税義務者であるため、現状では相談者が支払いを免れることは難しいと思われますが、管轄の都道府県税事務所に経緯を説明し、来年度以降納めなくて済む方法などを問い合わせてもよいでしょう。
このようなトラブルに巻き込まれた際、契約書や車検証の情報が必要になることがあります。何かしらの方法で保存しておくことをお勧めします。