
相談内容
査定を受け、買取業者と売買契約を取り交わし、2週間後に車と名義変更に必要な書類を店舗に持ち込む約束をした。しかしその後、次の車の購入先である新車ディーラーから「新車の生産遅れが生じたので、納車が5日ほど遅れる」と連絡があった。
毎日車で通勤をしているため、売却車両を予定通り渡してしまうと、乗れる車がなく支障が出る。買取業者の担当者に「車の持ち込み日を遅らせたい」とショートメールで連絡したが、「契約書に記載してある、お約束した日時までに持ち込みいただかないと困ります」と断りの返信が来た。
買取代金は引き渡し後の振り込みでまだ受け取っていないし、キャンセルするつもりもない。5日くらい持ち込みが遅れても問題ないですよね。
回答
契約成立後は、双方が契約を履行する義務が生じ、契約に対する責務を履行することになります。車の買取契約の主な責務は以下の通りです。(契約条項で定められている場合はそれに基づきます)
<売主の責務>
- 契約車両を約束した期日までに引き渡す
- 買取業者から依頼された、移転登録や抹消登録に必要な書類を約束した期日までに引き渡す
- 未納金や反則金がある場合は支払いをする
- 残債がある場合は精算する(買取金額との相殺を行う場合は買主に依頼することも可能)
<買主の責務>
- 契約金額を約束した支払方法で期日までに支払う
- 契約車両の移転登録や抹消登録の届け出を代行する
- (売主から依頼された場合)残債精算を代行する
このようなことから、「相談者が契約日の2週間後(約束した期日まで)に契約車両を買取業者へ引き渡すこと」は、売主としての責務となります。買主の承諾を得ないまま、一方的な都合で契約車両の引き渡しが遅れた場合は、売主から「契約不履行」として契約解除や損害賠償を求められないとも限りません。
相談者にしてみれば「たった5日」と思うかもしれませんが、中古車の相場は日々変化していますので、5日で急激に下落する可能性もあります。
車がないと支障があるということであれば、購入先か買取業者に代車を借りるか、レンタカーを借りるかになります。どちらも急には準備できないと思いますので、早急に相談することをお勧めします。
ショートメールは送信履歴も判り便利なツールですが、一方的になりがちです。契約内容を変更したいということであれば、担当者に電話等で事情を説明したうえで相談したほうがよいでしょう。
双方合意して取り交わした契約内容の変更は、基本的にはできません。「変更する」よりも、まずは「どうしたら契約上の責務を履行できるか」を考えることが大切ではないでしょうか。