
相談内容
亡くなった夫が使っていた普通自動車を子供に譲るつもりだったが、「車は持っているので要らない」と言われた。自分は車を運転しないため手放すことにしたが、その場合どのような書類が必要になりますか?
回答
回答はあくまでも一例となります。普通自動車の相続については、個々の状況により必要な手続きや書類が異なり複雑ですので、行政書士や売却を依頼する事業者からアドバイスを受けてください。
普通自動車は財産として扱われます。所有者が亡くなった場合は、相続の手続きが必要です。今回のご相談では、最終的に車を手放すご意向でしたので、売却までの一連の流れを説明します。
普通自動車の相続および売却手続きの前に確認すべきこと
1.車検証上の所有者が誰なのか
車検証を確認して、所有者が誰なのか確認する必要があります。所有者が亡くなったご主人の名義であれば問題ありませんが、ローンやリースなどで購入した車の場合、ディーラーなどが所有者になっていることがあります。ローン契約およびリース契約について、解約、残債精算や所有権解除などの手続きが別途必要となりますので、所有者に問い合わせしてください。
2.相続人に該当するのは誰なのか(何人いるのか)、その中の誰に相続をするのか
民法に定められている相続人の範囲に該当する人に相続の権利があります。(もし、有効な遺言状に車についての相続人が記載してあれば、原則としてそれに従うことになります。)その中で誰が車を相続するのか(相続代表者)について、法定相続人全員で話し合い、決めることになります。
3.査定額がいくらなのか
現在の車の査定額が「100万円超」か「100万円以下」かによって、準備する書類が変わりますので、まずは査定を受けましょう。日頃からお世話になっている修理工場やディーラーでもいいですし、買取業者に依頼してもよいでしょう。また、一般財団法人日本自動車査定協会の支所でも査定を受けることができます(有料)。
今回のご相談では、
- 車検証上の所有者⇒亡くなったご主人
- 相続人⇒配偶者(ご相談者)と子供1人(成人・独立して他県に居住)・相続代表者は配偶者
- 査定額⇒100万円超
とのことでした。このケースを主として説明します。
相続する普通自動車を売却するために必要な書類
・車検証(原本)・・・車の所有者を確認します
・戸籍謄本・・・所有者が亡くなった事実、相続の権利者(法定相続人)を確認します※1
・遺産分割協議書(査定額100万円超)・・・相続人全員の実印押印が必要です※2
・印鑑証明書・・・相続代表者のもの・発行から3か月以内のものが必要です
・自動車税(種別割)納税証明書・・・今年度分の自動車税納税が済んでいない場合、売却できません
・委任状・・・相続代表者の実印を押印したもの
・譲渡証・・・相続代表者の実印を押印したもの
・自動車賠償責任保険証明書
・リサイクル券
※1・・・戸籍謄本に載っていない相続人がいる場合は、改製原戸籍が必要 ※2・・・査定額100万円以下の場合は、遺産分割協議成立申立書(相続代表者の実印押印と相続代表者の印鑑証明が必要)・査定額100万円以下を証明する書類が必要
売却の手続きには余裕をもって!
相続人が多かったり、他県に住む相続人と書類のやり取りが必要となる場合、書類を揃えるのに手間も時間もかかります。売却の契約時に約束した引き渡しの日までに書類が揃わず、トラブルに発展することもあります。契約は慎重に取り交わすよう注意してください。
【参考】
・国土交通省 関東運輸局 相続による移転登録について
・国土交通省 北陸信越運輸局 相続に関する必要書類