
相談内容
成人している息子と同居しているが、自分が所有する普通自動車を共用している。ある日息子が帰宅するなり「うちの車の査定を受けてきたら、いい金額で買い取ってくれるというので売る契約をした。お父さんの印鑑証明書を取ってきてほしい」と言ってきた。
現在車を売る気はないので、キャンセルするよう話をしたが「古くなったから買い替えよう」と言っている。それなら自分が稼いだお金で勝手に車を買えばいい。そもそも、同居の家族とはいえ、所有者でもないのに売買契約をすることは可能なのか。クーリング・オフはできないのか。
回答
今回のご相談者であるお父様から電話をいただく前に、契約者である息子さんからも
父所有の車の売買契約を取り交わしたが、売却を反対されてしまった。署名をしたのは父ではないので、契約は無効になりませんか。
とご相談を受けていました。(上記をクリックすると、息子さんからの相談事例に遷移します)
買取業者と息子さんの間で契約に至った経緯は当事者同士しかわからないのですが、息子さんに契約当時の状況を尋ねたところ、「お父様の同意は得られるのか」と買取業者から確認をされた際「大丈夫です」と返答していたとのこと。もし、それが事実であれば、「同居の親族が代理で取り交わした」契約として有効になります。
しかし、息子さんが虚偽の申告を行っていたのであれば、所有者であるお父様が買取業者に直接「息子に契約の代理権を与えていない」旨説明し、契約の無効を主張することができると思われます。
したがって、今回の件については、
- お父様が売却に同意し、息子さんが車と印鑑証明書等の名義変更書類を完備して引き渡す(契約を履行する)
- お父様が息子さんに契約の代理権を与えていない旨を買取業者に説明し、契約の無効を主張する
どちらかで対応することになります。
ただし、2の場合、契約者である息子さんは、民法117条に基づき無権代理人としての責任を負い、買取業者から損害賠償を請求されることもありますので注意してください。
なお、車の売買契約はクーリング・オフできません。詳しくはこちらの相談事例をご覧ください。
契約条項上、契約解除が可能なケースもあります。息子さんが取り交わした売買契約書の約款をご確認ください。