
相談内容
一括査定を申し込み、連絡が来た買取業者に出張査定を依頼した。担当者から査定金額を提示されたが、納得のいく金額ではなかったため、「契約できない」と断った。
ところが担当者は、「売る気があると言われて出張査定にわざわざ来たんですよ。契約してもらえるまでは帰りません。」と言い、自宅に居座った。
「出張査定を依頼した別の事業者が来るから帰ってほしい。」とも伝えたが、それでも帰らないので仕方なく契約書にサインをしてしまった。
車や名義変更書類はまだ渡してない。のちのち考えてみると理不尽なので契約を解除したいが可能ですか?
回答
取り交わした契約書の契約条項を確認していただいたところ、契約解除に関する条項はないとのことでした。そのような場合、「消費者契約法」に基づいて契約を取り消すことが可能と考えられます。
消費者契約法とは
「消費者契約法」とは、消費者と事業者との間にはそれぞれが持つ情報の質・量や交渉力に格差があることを踏まえ、消費者を保護するためにできた法律です。※1
消費者(個人)と、個人事業主を含む法人が取り交わした契約が対象となります。※2
契約の取り消し
消費者契約法第4条で、事業者からの不当な勧誘によって、消費者が誤認したり困惑したりして締結した契約について、消費者の取消権が認められています。今回のように、買取業者(事業者)が相談者(消費者)に「契約の意思はないので帰ってほしい」と言われたにもかかわらず、「契約してもらえるまでは帰りません」と居座り、消費者にとって不本意な契約を取り交わしたことは、第3項第1号の「不退去」に該当すると考えられます。※3
したがって、契約をした買取業者の責任者に対し、「担当者へ契約の意思がないと伝えたにもかかわらず、自宅に居座られたため、困惑して契約してしまった」という事実を説明し、不退去による契約の取り消しを主張してください。
トラブルを防ぐために
車の売買契約は、クーリング・オフできません。契約解除や契約取消をするにあたっては労力がかかります。今回のような状況に遭遇した場合は、望まない契約を取り交わす前に「不退去で警察に通報します」などとはっきり相手に伝えることも有効な手段です。
※1 (消費者契約法第1条) この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合に等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとする・・・(以下省略)
※2 (消費者契約法第2条) この法律において「消費者」とは、個人(事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。 2 この法律(第43条第2項第2号を除く。)において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。 (以下省略)
※3 (消費者契約法第4条第3項) 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。 1 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。(以下省略)