
相談内容
一括査定を申し込み、数社の査定を受けた。他社と比較してかなり高い金額提示をした買取業者と売買契約を取り交わし、契約時に約束をした日に車と名義変更書類を引き渡した。ところが、1週間後の入金予定日に指定口座への振り込みがされなかった。
担当者に入金がないと連絡したところ、「資金不足で支払いが滞っていますが、今社長が資金を調達しています。あと1週間待ってください。」と言われた。「今すぐ支払いができないなら車を返してほしい。」と話したが、「車はオークション出品に向け、運搬済みなので無理です。」と応じてもらえなかった。
このまま待つしかないが、もし1週間後に支払いがなかった場合、どう対応したらいいでしょうか。
回答
車の売買契約において、双方合意した日に売主である相談者が車と名義変更の書類を引き渡しているのであれば、買主である買取業者は双方合意した日に契約金額を支払う義務があります。したがって、支払日の遅延は買主の契約不履行に当たります。
買取業者の資金不足を理由として、更に1週間の支払い猶予を求められているということですが、車も返してもらえず、このまま入金を待つしかない状況は大変ご不安のことと思います。資金不足が事実だったとしても、毅然とした対応で支払い請求を進めることが重要です。
もし猶予の1週間が過ぎても支払いがなかった場合、以下の対応を検討しましょう。
■内容証明郵便での支払督促
買取業者の本社あてに支払督促の文書を内容証明郵便で送りましょう。これにより、「いつ」「いかなる内容」の文書を「誰から」「誰に」差し出されたかを公的に証明でき、今後法的な手続きに移行する場合に有力な証拠となります。
文書は、契約内容、車両と名義変更書類の引渡し日、支払予定日、未払いである事実などを明確に記載し、具体的な支払期限を設けて作成しましょう。
■簡易裁判所での少額訴訟・支払督促の申し立て
支払の意思が感じられない場合や、契約金額60万円以下の場合は、簡易裁判所で少額訴訟または支払督促の申し立てを検討しましょう。専門的な知識がなくても、比較的簡易な手続きで進めることが可能です。
- 少額訴訟 ⇒ 原則として一回の審理で判決が出るため、迅速な解決が期待できます。
- 支払督促※ ⇒ 書類審査のみで、仮執行宣言付支払督促(債務名義の一種で強制執行の根拠となる公的な書類)を得られる可能性があります。 相手方から異議申し立てがなければ、強制執行の申し立てが可能です。
■自治体の法律相談や弁護士への相談
多くの自治体で、弁護士による法律相談を無料で実施しています。まずはこれを活用し、今後どのような手続きを取るのが効果的かなど、具体的なアドバイスをもらいましょう。開催日や相談時間は自治体によって異なり、予約が必要な場合が多いので、詳しいことはお住まいの自治体に問い合わせてください。
複雑なケースであったり、ご自身での対応が難しいと思われる場合は、弁護士への依頼も検討しましょう。
■警察への相談
売買契約を取り交わしての未払いトラブルは、基本的に警察が介入することは難しいのが現状です(民事不介入)。しかし、買取業者が最初から支払う意思のない契約を結び、同様の未払いトラブルが多数生じているような場合、詐欺罪として警察が捜査する可能性もゼロではありません。他の被害者情報を集め、相談してみるのも一つの手です。
トラブルを避けるために
高額提示をされても、飛びついて契約するのではなく、その買取業者について、評判や過去のトラブルなど口コミやSNSを検索するなど、冷静に判断することも大切です。法人登録情報や、実店舗があるかなども確認してみたほうがよいでしょう。
※ 詳しいことは、政府広報オンラインをご確認ください。 「お金を払ってもらえない」とお困りのかたへ、簡易裁判所の「支払督促」手続きをご存じですか(政府広報オンライン)