更新日 2025/08/29

相談内容
高齢である父親は有効な運転免許証を持っており、所有する普通自動車を日頃から運転していた。ところが、持病が悪化するなどして長期入院を余儀なくされている。
父親の住む地域は車がないと不便ではあるが、高齢者による逆走運転や、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる交通事故の報道を耳にして、退院後は運転させたくないと考えている。
免許証の返納を勧めるにあたり、退院前に車を代理で売却することは可能ですか。なお、娘である自分は結婚し、隣県に住んでいる。
回答
ご相談内容の聞き取りの中で、「お父様は車を売却することをご存じですか?」と尋ねたところ、「父は車を手放すことに反対すると思うので、事前に知らせるつもりはありません」とのことでした。ご家族であっても、所有者であるお父様の同意を得ずに売却することは問題です。
同居でも別居でも、ご家族が車の売買契約を取り交わすこと自体は可能ですが、所有者本人の同意を得ることが必要です。なぜなら、所有者に売却の意思や同意がないまま売買契約を進めた場合、以下のような大きなトラブルになる可能性があるからです。
- 買取業者へ引き渡す名義変更書類(所有者の署名や実印押印が必要な委任状や譲渡証など)が揃えられない。※なお、委任状などの代筆には「本人の意思」と「代筆の理由」が必要です。
- 所有者に無断で売買契約を取り交わし、後に反対されて契約が無効になった結果、無権代理人としての責任を負い、買取業者から損害賠償を請求される
- 契約解除が認められた場合でも、タイミングによって高額の違約金を請求される
- 車両の使用状況がわからないため適切な申告が出来ず、車に何らかの不具合などが判明した場合、買取業者から減額や契約解除を求められる
万が一の事態を危惧し、免許証を返納させたいというお気持ちもわかりますが、必ず売買契約前に所有者の意思を確認し同意を得てください。また、車以外の交通手段を一緒に調べるなど、免許証返納や車を手放すことによる不安な気持ちに寄り添い、納得するまで話し合う時間を持つことをお勧めします。