相談内容
突然、自宅に訪ねてきた中古車買取業者から「玄関先に停めてある車を売ってほしい」と言われた。提示された金額も満足だったので、その場で売り渡すことに同意した。売却代金を現金で受け取り、領収証を相手に渡した。
しかし、家族名義の車だったこともあり、名刺に書いてあった連絡先にキャンセルを申し出たが応じてもらえない。車や印鑑証明等の名義変更に関する書類はまだ渡していないし、契約書も交わしていない。どうしてキャンセルできないのか。訪問購入のクーリングオフは適用されないのか。
回答
契約書を取り交わしていなくても、双方が売買に同意した時点で契約は成立します。これを「諾成契約」と言い、書面で交わした契約と同等の効力を持ちます。契約が成立すると、売主は「車と名義変更に必要な書類等を引き渡す」義務、買主は「契約金額を支払う」義務が生じます。なお、四輪自動車の売買契約については、訪問購入であってもクーリングオフは適用されません。
したがって今回のケースの場合、買主である買取業者は「契約金額を支払う」義務は全うしており、売主である相談者は、車と必要書類を決められた期日に渡さなければならないと考えられます。この売買契約をキャンセルするためには、買主に契約解除に応じてもらい(合意解除)、領収証とともに受け取った代金を返金する必要があります。
※契約書を取り交わす場合は、契約の成立時期は「契約書に署名した時点」となります。また、契約条項に契約解除(キャンセル)に関する取り決めがないか、よく確認してください。
自分が新しく車を買うことより、今乗っている車を売ることの方が気軽と思う方が多いのではないでしょうか。しかし前述の通り、口頭でも契約は成立します。後悔しないよう十分検討した上で、契約を取り交わすようにしてください。