相談内容
個人間売買を仲介するフリマサイトで、不要になった車を売った。車と名義変更書類は購入者に手渡しており、名義変更も相手が既に済ませているようだ。しかしほどなくして、購入者から「納車当初から異音がするので修理に出した。エンジンに不具合があったので、かかった修理代を支払ってほしい」と連絡があった。
売買契約書や覚書などは特に作成していないが、フリマサイトでは、「現状渡し」「ノークレームノーリターン」と商品紹介をしている。今まで特に不具合も感じなかったし、車を相手に渡した時も特に指摘はなかった。名義変更も済んでいるので、元の持ち主である自分に責任はないと思っている。修理代を支払う必要はあるのですか。
回答
ネットが普及した現在、さまざまなフリマサイトが普及し、気軽に個人が車を売買できるようになっています。買取業者などを仲介しないので、売り手は「高く売れる」、買い手は「安く買える」こともあるでしょう。
しかし、車は機械であるため、使用期間や走行距離が増えると、故障のリスクが高くなります。また、大きな事故等で修理をした後、その箇所に不具合が生じる可能性も否めませんし、そういう事情がない車だったとしても、いつ、どんな故障をするかわからないのです。
今回ご相談のケースでは、相談者は民法上の「契約不適合責任」に問われる可能性があります。車の売買において「契約不適合責任」が判明した場合、売主は買主から、契約解除や契約金額の減額、修理代や整備代等の損害賠償を求められることになります。したがって、売主である相談者は、買主と修理代について話し合いをする必要があります。また、売主が「契約不適合責任」を負う期間は「買主が不適合を知ったときから1年間」となり、名義変更手続きが済んでいるかは問われません。(なお、不具合が購入後の買主の過失によるものと立証できれば、売主が責任を負う必要はありません。)
こういったトラブルに備えて、個人間売買で車を取引する場合、面倒でも売買契約書※を作成し、取り交わすことが有効です。相談者はフリマサイトの商品紹介に「現状渡し」「ノークレームノーリターン」と書いていたとのことですから、その内容や、売主と買主で合意した内容を契約書に盛り込んでおくことで、責任の所在を明確にすることが可能になります。※売買契約書は同じものを2部作成し、売主と買主双方で署名し1部ずつ保管してください。
ただし、契約書に「売主は契約不適合責任を負わない」などと定めていたとしても、もし売主が故意に不具合などを隠したり、過少申告をしていた場合、その定めは無効になる可能性があります。これは、中古車買取事業者に売却する場合も同じです。不具合だけではなく修復歴、災害歴、メーター交換歴などについても、売主は買主に対して誠実に知りうる限り申告することが大切です。
フリマサイトは、場を提供するだけで話し合いの仲裁などは基本的には行いません。トラブルが起こった際は、当事者双方で話し合いを行い、解決するしかありません。それでも解決方法が見いだせない場合、話し合いがこじれた場合は、弁護士からアドバイスを仰ぐことも検討してください。